母親である私が中学時代から憧れていたもの、それがバイオリンでした。
当時、クラスメイトにバイオリンのとても上手な子がいました。その子の父親は高校の物理の教師、母親は音楽家でした。その子は幼いころからバイオリンをバイオリン教室の先生と母親の二人から教わっていたようでした。
私の通っていたのは私立のカトリック系女子校で、毎年教会で厳かなクリスマス会が開かれていました。その会で、その子がバイオリンを演奏したのです。音楽の音色は言葉で表現ができません。ただただ美しい、それだけです。けれど、私はその音色に感動し、バイオリンという楽器に憧れを持つようになりました。
その子は、左利きで、英語がかなり得意でした。高校は私と同じ進学校に進み、大学はICUに行きました。
バイオリン、左利き、英語が得意……。
私の父もその子の父親と同じ高校の教師です。教科は数学。その父からの後天的な影響か、あるいは遺伝なのか、私自身、少なからず教育というものに興味を持っていました。
バイオリンの上手なクラスメイトに出会い、バイオリンに憧れ、それはしだいに「音楽」と「教育」との関係を考えるまでになりました。
音楽家に限らず芸術家には左利きが多いと聞きます。
中学時代に出会った子とは別に、小学校三、四年のころの友達の中に左利きの子がいました。その子はピアノがとても上手で、休み時間はいつも教室のオルガンを弾いていました。頭もよくて、大学は東北大学の歯学部に進みました。その子の両親は医者でした。